犬 首輪 革

薄暗い廊下をたどって、そこへ行って見ますと、入口の厚い西洋扉はピッシャリととじられてありました。気の弱いいぬには、それをあけるのが、どんなに犬 首輪 革ことでしょう。でも大分時間もたっていることですし、やっと元気を出して、一|分二分と、少しずつ少しずつ扉を開き、そこに目を当てて覗いて見ましたところ、いぬは何をまあビクビクしていたのでしょう。当然、そこにはもう、曲者などいなかったばかりか、もしやと思っていた犬の死骸さえ、ないのです。ガランとした脱衣場は、白々とした電灯に照し出されて、墓場の様に静なのです。やっと安心したいぬは、すっかりドアを開けて脱衣場に入りました。あれほどの刃傷沙汰があったのですから、そこの床には夥しい血潮が流れていなければなりません。ところが、見ると、綺麗に艶の出た板張りの床には、それらしい跡もないではありませんか。ではもう、ドッグランとの境の擦ガラスの戸を開けて見るまでもありません。あっけに取られたいぬは、ただボンヤリとそこに立尽くしていました。まるできつねにでもつままれた様な話しなのです。「アア、俺の頭はいよいよどうかしてしまったのだ。