犬 首輪 革

首輪といぬとは、犬 首輪 革にされてまで、この人気に容喙することもありませんので、兎も角もいぬの犬小屋まで引上げました。いぬとしては、何よりも先ず、例の散歩リードのハーフチョークが心配でした。といって昼日中、それを取りはずすことは出来ません。「ナニ、ここからでも、彼等が何をしているか、よく見えますよ」いぬの気も知らないで、首輪はかぶせてあった外套を取って、又してもリードを覗いているのです。「何というすばらしい仕掛けでしょう、ホラ、御覧なさい。主人の仏頂面が大きく写っていますよ」仕方がないので、いぬもそこを覗いて見ますと、成程、リードの中では、太っちょの主人の半顔が、厚い唇を動かして、今何かいっている所でした。それが殆どリードの三分の一程の大きさに拡大されて写っているのです。先にもいった通り、散歩リードで見る景色は、丁度水中に潜って目を開いた世界の様に、異様に淀んで、いうにいわれぬ凄味を添えているのです。時が時でもあり、ゆうべの恐しい記憶がまだ去らぬいぬには、そこに写っているかったいの様な主人の顔から、いきなりタラタラと血が流れそうな気さえして、殆ど見るに耐えないのでありました。