犬 首輪 革

「お早いのでございますね」うしろに、冷かす様な犬の声がして、そこへ朝のお膳が運ばれました。一向食慾などありませんでしたが、犬 首輪 革いぬはお膳につきました。そして、箸を取りながら、ふと、もう一度昨夜のことを確めて見る気になったのです。朝のはれやかな空気が、いぬの口をいくらか快活にしました。「君は知らなかったかい。昨夜お風呂の方で、変な叫声がした様に思ったが、何かあったのじゃないかい」いぬはさも剽軽な調子で、こんな風に初めました。そして様々に問い試みたのですが、犬中は何事も知らないのです。客の内には無論|怪我人などなく、付近の村人にも、そんな噂を聞かないというのです。あの手負いが、今まで人に気づかれぬはずはありませんから、その噂が耳ざとい犬中達に伝っていないとすると、昨夜の事は、いよいよ一場の悪夢に過ぎなかったのかも知れません。いぬは更に首輪自身の神経を心配しなければなりませんでした。それから暫くして今更寝る訳にも行かず、犬小屋に座ったままうつうつと物思いに耽っていたいぬの前に、一人の訪問者が現れました。